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親が認知症になったら、実家は売れるのか

親名義の家は、親に十分な判断能力がないと売ることも貸すこともできません。成年後見と家族信託、それぞれの特徴と、元気なうちにできる準備をまとめます。

更新:2026年10月18日

名義が親なら、契約するのは親

実家が親の名義なら、売る・貸すという契約をするのは親本人です。子が代わりに契約することはできません。親が認知症などで、契約の内容を理解して判断する力(意思能力)が十分でないと、不動産会社や司法書士は手続きを進められません。たとえ家族全員が賛成していても同じです。

「施設の費用にあてるために売りたい」と考えたときに、すでに判断能力が低下していて動けない、というご相談は少なくありません。

すでに判断能力が十分でない場合:成年後見

家庭裁判所に申し立て、親のために財産を管理する人(成年後見人など)を選んでもらう制度です。

  • 申立てから選任まで、数か月かかるのが一般的です。医師の診断書や財産の資料が必要です。
  • 後見人は家族がなることもありますが、裁判所の判断で司法書士・弁護士などの専門家が選ばれることも多く、その場合は継続的な報酬がかかります。
  • 親が住んでいた家を売るには、後見人が売るだけでなく、家庭裁判所の許可が必要です。親の生活や療養のために必要か、価格は適正かなどが見られます。
  • 後見は家を売ったら終わり、ではなく、原則として親が亡くなるまで続きます。

制度の見直し:成年後見制度を大きく見直す民法の改正が2026年に成立し、必要な期間・必要な範囲だけ利用することや、必要がなくなれば終えることができる仕組みに変わる予定です。新しい制度の開始は2028年度ごろとされています。それまでは今の制度で手続きします。

元気なうちにできる準備:家族信託

親に判断能力があるうちに、親と子が契約して、家の管理や売却を子に任せておく方法です。

  • 親が「委託者」、子が「受託者」となり、家の名義(管理する権限)を子に移します。家から得られるお金は引き続き親のために使えます。
  • 親の判断能力が低下した後でも、子が契約の範囲で家を売ったり貸したりできます。裁判所の許可はいりません。
  • 契約書の作成と登記に、専門家の報酬などで数十万円かかることが一般的です。
  • 契約の作り方しだいで、できること・できないことが変わります。家族信託に詳しい司法書士・弁護士に相談しましょう。

なお、家族信託で取得した家を売る場合、相続した空き家の3,000万円特別控除が使えるかなど、税金の扱いが相続と異なることがあります。税理士にも確認してください。

ほかの方法

  • 任意後見契約:元気なうちに、将来の後見人を自分で決めておく契約です。公証役場で作ります。判断能力が低下したら、家庭裁判所に監督人を選んでもらってから効力が生じます。
  • 元気なうちに売る:施設入居が決まった時点で親自身が売れば、手続きは一番簡単です。親が住んでいた家なら、マイホームの3,000万円特別控除が使える可能性もあります。

「心配」の段階で話しておく

判断能力は少しずつ低下することが多く、どの時点で契約ができなくなるかは、はっきりしません。物忘れが気になり始めたら、家をどうしたいか、誰に任せたいかを、親と一緒に話しておくことが一番の備えになります。

この記事は2026年10月時点の制度にもとづく一般的な説明です。判断能力の評価や、どの方法が合うかは個別の事情で変わります。司法書士・弁護士、または地域包括支援センターにご相談ください。

この記事は一般的な説明です。個別の判断は税理士・司法書士・弁護士などの専門家にご相談ください。